アルミニウム(アルミ)は、鉄や銅と比較して密度が約1/3と低く、その軽量性から航空機、船舶、車両などの交通機関や建築、土木資材としての利用において重要な役割を果たしています。大気中で耐食性に優れた酸化皮膜を自然に形成する特性を持ち、鉄が赤錆びるのとは異なり、腐食の心配が少ないです。さらに、アルマイト処理という表面処理により、耐食性や耐摩耗性を大幅に向上させることが可能で、これにより美しい銀白色の光沢を長期間保持することができます。電解発色や染色などによってさまざまな色を付けることが可能であり、アルミニウムは多岐にわたる用途に使われています。

アルミニウムは展伸性に優れているため、板、箔、棒、管、線、型材など、様々な形状の製品を容易に製造することができます。また、成型加工や切削加工など、加工性にも優れており、製品製造の効率化に貢献しています。

近年、アルミニウムのスクラップリサイクルが他の金属に比べて容易であることが再評価されており、資源の有効活用という観点からもアルミニウムの重要性が高まっています。

アルミニウムの種類とその用途について

アルミニウムはその軽量性、強度、耐食性などの特性から、多岐にわたる産業で使用されています。その利用形態は板材、形材、線材、管材、鍛造品など多種多様であり、用途に応じて様々なアルミ合金が選ばれます。以下に、代表的な合金の種類とその主な用途を紹介します。

建築資材

板材1050、1100、5052、3105など。主に外壁材や屋根材などに使用されます。
形材6063、6N01、6061。窓枠やドア、建築の構造材に適しています。

電機

板材1050、1100、3004、3003。電気の伝導部品や放熱材などに使われます。
形材6061、6063、6N01、2024。構造部品やケーシングに使用されます。
管材2011、2017。主に配線保護用などに利用されます。
鍛造品2025、2218。高強度が求められる部品に使用されます。

光学・精密機器

板材1100、1050、5052、2017。光学機器や精密機器の部品に利用されます。
形材6063、7003、7N01。フレームや支持部材などに使用されます。

食品関連

板材1200、1100、3003、5052、3004。食品加工機械や容器、調理器具に適しています。

包装・容器

板材5052、1050、5083。飲料缶や食品容器などに使われます。
鍛造品2017、5056。高強度を要する包装材に適用されます。
1N30、8021。食品包装の薄膜材料として使用されます。

アルミニウム価格の構成要素

アルミニウムの価格設定には、主に二つの要素が影響しています。これらは「アルミ地金」と「ロールマージン」と呼ばれる部分で構成されており、それぞれの要素が価格に加算されて最終的な価格が決定されます。

アルミ地金とは

アルミ地金は、アルミニウムの原料となる純粋な形態のアルミニウムのことを指します。アルミ地金の価格は、国際相場によって日々変動し、この変動がアルミニウム製品の価格に直接影響を与えます。

ロールマージンとは

ロールマージンは、アルミ地金を成型する際にかかる加工費用や手間賃を指します。アルミニウム製品を製造する過程で発生する様々なコストが含まれており、これが製品価格に反映されます。

NSPルールについて

アルミ地金価格の変動を考慮し、公平かつ透明性のある価格設定を行うために、「NSPルール」という方法が一般的に採用されています。NSPルールは、過去一定期間の地金価格の変動を基に、その平均値を現状の価格に反映させる方法で、市場の変動に柔軟に対応しつつ、取引の公正性を保つために用いられます。

このようにアルミニウムの価格は、原料であるアルミ地金の国際相場に基づく変動と、製品を成型するための加工費用(ロールマージン:原則固定)の二つの要素によって構成されます。価格設定の透明性と公正性を保つためにNSPルールが採用されている点も、アルミニウム取引の特徴の一つです。