アルミ引き抜き技術
アルミは押すの?引くの?
アルミニウムの加工技術には、多くの人が押出(おしだし)と引き抜き(ひきぬき)の違いを理解していないという事実があります。営業活動をしていると、時々お客様から「アルミの材料を引き抜いて欲しい」という依頼を受けることがあります。これは一体、何を意味しているのでしょうか?
まず、「引き抜き」という言葉が出る背景には、おそらく言葉の混乱があります。実際に話を伺うと、依頼された「引き抜き」は「押出し」のことを指しているケースが半分程度存在します。特に、年配の方々の中にはアルミ製品を使うことはあっても、自分で押出材を発注する経験が少ないため、昔の言葉遣いが残っているのかもしれません。
しかし、残りの半分のお客様は実際に「引き抜き」加工を望んでいます。アルミニウムの押出技術が主流となっている中で、引き抜き技術もまた、特定の製品製造で利用される方法です。では、「引き抜き」とは具体的にどのような技術なのでしょうか?
次回のコラムでは、この「引き抜き」技術に焦点を当て、その方法と適用例について詳しく解説します。アルミニウムの加工方法には様々な技術が存在し、それぞれに独特の利点があるため、適切な加工方法を選択することが製品の品質を左右します。
アルミニウム加工の世界にはまだまだ知られざる技術が多く存在します。次回も、この興味深いテーマをさらに掘り下げていきましょう。
引き抜き材とは何か?
前回のコラムでは、アルミニウムの押出技術について解説しました。それはまるで心太(ところてん)を押し出すようにアルミを成型する方法ですが、今回は「引き抜き」という加工技術に焦点を当てます。
押出技術がアルミのビレットを後ろから押して形を作るのに対し、引き抜き材はその名の通り、材料を前面から引っ張って成型します。この方法にはいくつかの顕著な特徴があります。特に、材料の強度が向上し、寸法精度も高まるため、非常に重要な技術と言えます。
引き抜きの製造過程を例として取り上げると、アルミ管を製作する場合が理解しやすいでしょう。まず、基本となる素管(これ自体がアルミ押出によって作られる)を取り、これを引き抜きながら徐々に細くしていきます。この工程は1回で10%から50%の範囲で素管を細くし、必要に応じてこの工程を10回程度繰り返すこともあります。
引き抜き材の用途は主に、強度や精度が非常に求められる製品に使われます。例えば、カメラのレンズを保護する筒など、日常生活でも目にすることのある製品に利用されています。
アルミニウムの引き抜き技術は、その精密性と強度から多くの高精度製品で選ばれる方法です。次回はさらに、この技術がどのように様々な産業で応用されているかを掘り下げていきます。アルミニウム加工の奥深さを、一緒に探求していきましょう。
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